スクラムはじめました! ~導入編~
本記事は「2014年1月」に投稿したブログ記事を再編集したものです。
はじめに
本記事は、アジャイルな開発手法の1つである「スクラム」を本格的に導入した頃の内容です。
スクラムをはじめて2ヶ月後くらいには、少しずつ履歴が溜まり始め、やってみて見えてきたことがたくさん出てきました。
チームも良い開発(楽しく開発し、価値のあるものをお客様に提供する)ができるチームへと確実に改善されていることを実感しています。
今回は、スクラムを実践している中で実際にやってみたことや感じたことを「導入編」と「実践編」に分けて発信していきます。
※本やネットに書いていないようなことを伝えたいです
~ 導入編~
認定スクラムマスターの誕生
きっかけは、これまでもスクラムの要素を取り入れながら改善を行ってきましたが、正しい認識&理解の上で実践できているという確信が得られず、試行錯誤を繰り返して実践してきました。
そんなとき、2013年11月に我社で2人の [ 認定スクラムマスター ] が誕生しました。
これがスクラムの本格導入へ行動を移すための大きな後ろ盾になりました。
(当時はまだ札幌では数少ない認定スクラムマスターでした)
スクラムの用語をまったく使わない
さっそくスクラムを導入すると明言するわけですが、スクラムを経験してきたメンバーが居る訳でもなく、中にはスクラムの知識がまったく無いメンバーもいるため、スタートラインに立つことが難しいように思えました。(多くの人が導入に踏み切れない最初の壁ですかね)
そこで最初に考えた仕掛けが、スクラムの用語をまったく使わないことでした。
メンバーがこれまでの経験や知識を応用できるような言葉を使い、難しい概念を出さないことで、メンバーの不安要素を消した訳ですね。
ちなみに、チームメンバーは7名で、遠隔で作業しているメンバーを含んでいます。
(幸いなことに、スクラムガイドで推奨している7±2名にピッタリ)
2つの成果物
具体的には、
やるべきことをまとめておこう ・・・【 成果物(アーチファクト)】
これまで、お客様からの要求や不具合、環境改善の活動など、やるべきことが分散されて管理していましたが、どれもやるのはチームなので、ひとつにまとめて管理しました。
成果物(1):要件一覧
[ 要件一覧 ] と呼ぶもの ・・・【 プロダクトバックログ 】
やるべきことすべてをExcelに一覧形式で記入していきます。
但し、ここでの内容として必ず記入する項目を決めています。
- ターゲット:誰がほしいのか
- 要件:何がほしいのか + その理由
- 完了条件:どうすれば終わりなのか
- 納品時期:いつほしいのか
成果物(2):作業一覧
[ 作業一覧 ] と呼ぶもの ・・・【 スプリントバックログ 】
[ 要件一覧 ]の項目のうち、今回のイテレーション(【スプリント】)で行うと決めた項目を、作業タスクに分解してExcelに記入します。
- [ 要件一覧 ]の項目:[ 要件一覧 ]と紐付け
- タスク:やるべき作業
- 担当:誰がやるか
- 予定工数:どれだけかかるか
大切なことを漏らさずに、わかりやすい言葉で表現することで、どのメンバーもすんなり理解ができていたのがGoodでした。
3つの役割
だれがやるのか ・・・【 役割(ロール)】
スクラムの定義では、
【 1.プロダクトオーナー 】【 2.開発チーム 】【 3.スクラムマスター 】
と、完全に分けて実践することになっていますが、導入ということで、最初から完全に分けるのではなく、
- [ 要件一覧 ] の優先順を決める人:1人
- [ 開発 ] をする人:全員
と決め、スクラムマスター的な役割は全員で持ち回りにしました。
これによって、実際に体験しながらスクラムマスターの仕事を習得していくことを目的としています。
最初から枠にはめてガチガチに進めるのではなく、今までの活動に少し改善を加えたイメージで進める方が、より自分達に合った改善が生まれてきます。
6つの活動
やってみよう ・・・【 活動(セレモニー)】
まずはスプリント期間を1週間と決めました。
これは現在のプロダクトが、状況によってやることの優先順が日々変わっていくため、スクラムの定義でいう 1week ~ 4week の最小単位ではじめることにしました。
スプリントの開始は火曜日、終了は月曜日です。
これはメンバー全員がわりと揃う日が 月曜日と火曜日であったということだけです。
活動(1):計画その1
計画その1 ・・・【 スプリントプランニング Part1 】
[ 要件一覧 ] の整理&確認と次のスプリントでやる項目を決めます。
- [ 要件一覧 ] の追加された項目の内容を共有
- [ 要件一覧 ] の追加された項目の規模を見積る
- [ 要件一覧 ] の優先順を決める(変更する)
- 今回のスプリント内でやる項目を決める
活動(2):計画その2
計画その2 ・・・【 スプリントプランニング Part2 】
[ 作業一覧 ] の作成をします。
- スプリントでやる項目の作業タスクを洗い出す
- 作業タスクの作業工数を見積る
1日のうち作業タスクにかける時間を 6h で計画します。
( 6h という単位は過去実績からの感覚的なものであって、今後改善するための最初の基準としました)
計画その1&その2の終わりには、
計画したことをスプリント内でやり遂げられる!
という自信をチーム全員で共有できることに価値を置きます。
活動(3):朝会
朝会 ・・・【 デイリースクラム 】
朝9時からスタンドアップミーティング形式で行います。
- 昨日やったこと
- 今日やること
- 困っていること
その他に、夕方4時には夕会もはじめました。
他のメンバの状況を把握することで、自分の動き方を変えることができます。
そして、リズムを作ることで、ムダな残業をしないことが目的です。
活動(4):情報共有
情報共有 ・・・【 プロダクトバックログリファインメント 】
日々変化する状況に合わせて、新しい情報により優先順が変更になったり、新しい要件が発生したときには、すぐさまメンバー全員で集まって情報共有をします。
- 新規項目の内容把握
- 優先順変更理由の共有
[ 要件一覧 ] にはメンバーの誰でも項目を追加することを許容していますが、優先順の変更はプロダクトオーナーが行います。
活動(5):ふりかえり その1
ふりかえり その1 ・・・【 スプリントレビュー 】
スプリントでやると決めた [ 要件一覧 ] が完了したかを確認します。
- 完了の確認
- バーンダウンの確認
- 完了した項目の規模の合計確認 ⇒ ベロシティの計測
スプリントで自分達がやり遂げた実感をメンバー全員で共有します。
活動(6):ふりかえり その2
ふりかえり その2 ・・・【 スプリントレトロスペクティブ 】
スプリントのふりかえりをします。
ふりかえりはKPTH方式で、特に制限をつけずに行います。
- Keep – – – – – よかったこと、続けていくこと
- Problem – – – 改善すべきこと
- Try – – – – – – やってみること
- Happy – – – – うれしかったこと
まとめ
ここまで挙げた「2つの成果物」「3つの役割」「6つの活動」を抑えつつ、スクラムの定義とは別に大事にしていることがあります。
それは、メンバー間の対話を多くすることです。
向かうべき方向をメンバー全員でイメージしてみんなで進む!
これからも忘れずに進めていきたいところです。
次回は、いよいよ「実践編」に入ります。
スクラムをはじめて何が良かったか、どう変わったか、など実践して経験として得たことを発信していきます。
お楽しみに。
この記事を書いた人
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トラスティア株式会社 専務取締役
テクニカルディレクター
長期に渡り、アジャイル開発を推進・実行しています。
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